佐賀で漬け物と薬局の経営に奮闘中 山下善太郎のブログ

松浦漬の伝統の味が『一子相伝』なのには理由があるんです。その理由とは。

 

 松浦漬の事

伝統の味が一子相伝なのには、数年前に世界で有名になった『もったいない』って言葉が関係していました。

佐賀県唐津市で松浦漬という漬物屋と薬局を営んでる山下です。
最近は特に連休前なので、薬局でも業務が多めになっていますが、来月くらいからまた、松浦漬の仕事も初めて行く予定です。そんな今日は、今まで松浦漬の商品について書いてましたが、松浦漬の事を全く書いてないと思い、今回は松浦漬について書こうと思います。

松浦漬ってなんですか。

松浦漬の歴史について

松浦漬が生まれたのは、佐賀県の北西部の唐津市呼子町です。現在も本社があるところです。
現在の呼子町は昔と違い、イカの活き造りで有名な観光地となってます。週末や連休になると、イカの活き造りを食べに全国から呼子まで来ていただいてます。それくらい今では、イカというイメージが付いてます。

しかし、昔(明治時代〜昭和中期くらい)までは、国内でも有数の捕鯨基地として名を馳せていました。そのため、当時呼子の捕鯨会社の出資者だった松浦漬の創業の元には、捕鯨による分配品として内臓や鯨肉などが届けられていたみたいです。その中に、松浦漬の原料の一つである、かぶら骨(鯨の鼻先の軟骨)も入っていました。
この軟骨は、かなり大きいので、そのままでは食べることもできずに、鳥の軟骨くらいまで細かく刻んで、カンタンに調味して食べていました。当時は、それくらいしか調理方法がなかったみたいです。

なんとなく、大きさが分かって頂けますか?切断して解凍中なので、この倍以上の大きさはあるんですよ。

なので、そんなに大量に食べることも出来ずに近所に分けるか、当時は冷凍などという保存方法もなかったため、処分するしかなかったみたです。

それではもったいないと、松浦漬の創業者が、かぶら骨を粕漬にすることを思いつき、長年の試行錯誤の結果、酒粕特有の風味を保ちつつ、長期保存ができる現在の松浦漬の製法を生み出しました。まさに、数年前に世界に広がった言葉『もったいない』から生まれたような商品なんです。
この
松浦漬が出来てからは、その味が近所で評判になり会社を明治25年に創業し、明治40年に『松浦漬』で商標登録しました。どんな商品でも、最初は周りの人からなんですよね。そんな事を父から会社の歴史を聴きながら思ってました。

昭和30年代の捕鯨最盛期には、松浦漬は庶民の味としてたいへんな人気を馳せるようになり、平凡社の百科事典作成の時には、日本珍味五種の一つに数えられるくらい有名になりました。しかし、時代とともに食事が豊かになり、また、国際的に捕鯨に厳しい目が向けられるようになり、昭和62年に商業捕鯨が停止になると、原材料となるかぶら骨がほとんど手に入りにくい状況となり、原材料のかぶら骨の高騰で、松浦漬の価格も上げざる追えなくなってしまいました。その影響で、今では1缶1200円になってます。
現在は、そんな厳しい環境の中ですが、創業者が作った伝統の味を守り続けています。
価格の高騰といっても、よく考えるとタバコより上がってないですね(笑)

松浦漬の製法はなぜ一子相伝なのか

 上で書いたように、松浦漬ができるまでは、かなりの時間とお金を使ったみたいです。創業者は、一時倒産しかけた事もあるくらいまで、私財を投げ打ってまで開発に情熱を傾けたらしいです。
つまり、情熱と労力をかけて培った製法だけに、創業者は、その製法の流出を一切禁じました。メモとして記録に残すことはもちろん、作業場でのやりとりは隠語を使うなど、家伝の秘法として代々口伝えのみで受け継がれています。流石に今では隠語までは使いません。
北斗の拳みたいでしょ(笑)

 なので、今も、松浦漬の味付け、調合比率を知るのは社長ただ一人なんです。次の代に受け継ぐその日まで、最終工程は必ず社長自らの手でというのが、松浦漬の決まりになってます。
このような決まり事によって、松浦漬の伝統製法、伝統の味は守られているのです。
この伝統が守られているおかげで、私も、父からまだ最終工程の調味方法は教えられいないんです。途中までは、教えてはくれてるんですが、最後の調味だけは今だに分かりません。

なんとなく、松浦漬の事について分かって頂けましたか。もし、製法以外で(笑)何か気になることがあれば気軽にメッセージくださいね。自分のFacebookからのメーッセージでもいいですし、TwitterからのDMでも大丈夫です。

そういう松浦漬に興味をもった方は、こちらから商品を見て下さいね。

 

 この記事の投稿者

山下善太郎

大学卒業後、大手ドラッグで勤務(約5年)→佐賀県唐津市の『山下至誠堂薬局』(稼業)を継いで約15年(2019年現在)になります。ここ最近は、父が社長の松浦漬本舗も少しずつですが手伝う様になりました。松浦漬は、鯨の軟骨を酒粕に漬けた商品で、日本酒 白ワイン 白ご飯似合う珍味です。最近は、松浦漬のことを多めに記事を書いています。
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